最近頻度は少し減っていますが、私は音楽が好きでライブによく行きます。ライブと言えば、ticket touts /ˈtɪkɪt taʊts/(アメリカ英語では ticket scalpers:ダフ屋)がウロウロしているイメージでしたが、最近は法律が厳しくなったのか少なくなった気がします。先日行ったライブでは一人も見かけませんでした。
そこで思い出したのですが、数年前に日本人のお友達とライブに行った時、ダフ屋さん達が、「Buy or sell, buy or sell.」と言いながらチケットの売買をしていました。お友達は不思議そうな顔でダフ屋さん達を見ています。ロンドンであまりライブに行った事がないので、珍しくて見ているのかな?と思っていたら、「ねぇねぇ、’By yourself’ってどういう意味?」と聞いてきました。私が「えっ?どうして?」と聞くと、「ダフ屋のおじさん、’By yourself’って言ってるの、何あれ?」と返ってきました。
この二つの表現を発音記号で書くと:
By yourself /baɪ jəˈself/
Buy or sell /baɪ ə sel/
ここで、「イ」の次が母音の場合、間に /j/ が自然に入るというコネクティッド・スピーチのルールを使うと、Buy or sellは/baɪjəsel/に近くなり、音だけで考えると、By yourselfとほとんど同じです。最後の/f/があるかないかは、うるさい所だと聞こえにくいので、お友達が聞き間違えたのも無理はないと思います。
では、この二つ、どうやって聞き分けるのでしょう?もちろん、ダフ屋さんが「By yourself」と言っているのはおかしいので、全く同じ音だとしても状況で分かるのですが、状況では分からない場合、ストレスの位置が大きなヒントとなります。「By yourself」」の場合、ストレスは ’self' にしかありませんが、「Buy or sell」は 'buy' と 'sell' にストレスがあります。もし本当にダフ屋さんが「By yourself」と言っていたとしたら、「By」の部分がとても弱くて聞こえにくいはずなのです。
このように発音がほとんど同じでも、前後関係や状況だけではなく、ストレスがどこにあるかや、イントネーションによって、何を言っているかが分かる場合もあります。機会があれば、一度、意味や一つ一つの音ではなく、リズムやイントネーションに意識して、テレビなどを聞いても面白いと思います。
私は、次回のライブの予定は11月なのですが、イタリアなので、ダフ屋さんがイタリア語で何と言うのかは聞き取れないので残念。ダフ屋さん、イタリアにるのかなぁ?
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