ある日、ある生徒さんから、「’I'd do that.' には 'if I were you' が隠れていると言うのは本当ですか?」というご質問を頂きました。私は、「いつもではないですが、そういう場合もあります。」とお答えしました。
この文章は仮定法なので、'if'の後に何が続くかは状況や前後関係によって違いますが、'if’は隠れています。
どうしてこの疑問がわいたかをお聞きすると…
その方、仕事で「あることを方がいいかどうか?」をイギリス人の同僚にEメールで相談したところ、 ’I'd do that’ というお返事が届いたそうです。
その生徒さん、この「’d」の部分は、次が「do」で現在形なので、「had」ではなく「would」だと判断し、「would」は丁寧な言い方だと習ったので、「I'll do that.」を丁寧に言っている、すなわち、その人がそれをやってくれると思い、ご自分では何もしなかったそうです。
数日後、そのEメールをもらった同僚から「どうしてあれをしなかったの?」と聞かれ、「えっ?(あなたが)やってくれるんじゃなかったの?」という事になり、その時、そのイギリス人の同僚が「’I'd do that’ には、’if I were you' が隠れているんだよ」と教えてくれて、はじめて、その同僚が「自分だったらやるよ=やった方がいいと思う」というアドバイスをしていたことに気づいたのだそうです。
実際、would は丁寧な言い方だと思っている生徒さんが非常に多いのですが、’would’ が必ずしも丁寧な言い方というわけではありません。どちらかと言うと、わけがわからない 'would'(どうしてここに 'would'があるかよくわかない時)は、ほとんどの場合仮定法です。
Wouldの使い方
Wouldは、簡単に言うと主に以下の3つの使い方が一般的です:
1. 未来を表す ’will' という単語を過去に使った事を今表現している
例:I told you I would do that.
「(過去に)'I'll do that (私がやります)’と(あなたに)言いました」
=「私がやるって言った(よね、じゃん、etc...)」という感じ
2. 過去の習慣
例:When we were in the same class, we would often have lunch together.
「(私達が)同じクラスだった頃、(私達は)よく一緒にランチを食べました。」
3. 仮定法(何かが起こった事を想像している − 'if' という条件がある)
例:I would go on a nice holiday if I won the lottery.
仮定法で'if...'の部分が省略された場合の'would'が一番わかりにくいと思いますので、ご説明します。
仮定法で 'would' を使う場合
絶対にありえないこと(例:もし私があなただったら)や、まずない(あったらびっくりする)ようなこと(例:もし宝くじに当たったら)を想像している時に'would'を使います。
仮定法は、'if...'の部分が明らかだったり、頻繁に使われるフレーズ(上記の'I'd do that'など)の場合、 ’if'の部分は言わない場合が多く、その時に'would'がどういう意味なのかわからなくなる方が多いようで、上記の例もその一つです。
☆「もし明日雨がふったら」など、その他の仮定法については、仮定法のページをごらんください。
仮定法で'if...'の部分を言わない場合
質問の答え
日本語でも、「もし宝くじに当たったらどうする?」と聞かれたら、「もし…」の部分は言わずに「旅行に行く」などだけ言う場合が多いように、英語でも同じことがおこります。
'What would you do if you won the lottery?'と聞かれたら、'I would go on a nice holiday.'など’if...'の部分がない答えが返ってくる場合が多いのです。この場合、'would' は「丁寧」に言う事は意図していません。
'if...'の部分があるのが明らかな場合
実際あった、かかりつけのお医者さんとの会話(英語)を例にします:
お医者さん:処方箋を出しておくから、取りに来て下さいね
私: Bootsに送ってもらえますか?
お医者さん:OK。今からBootsに送るから午後には届くはず
私: じゃ、今日午後に取りに行きます
お医者さん:あぁ、でも在庫がないかもしれないから、I'd go tomorrow.
この 'I'd go tomorrow' は、上記の'I'd do that'と同じく、'If I were you'が隠れています。もちろん、「もしものことを考えて念の為に」なのかもしれませんが、どちらにしても、「もし…」という話をしているのは明らかです。これも丁寧に言うために'would'を使っているわけではありません。
決まり文句のようになっているもの
That would be great. 「もしそうしてくれるのなら」のような意味が隠れている
That would be fine. 「あなたがそれで良ければ」などが隠れている
これらが丁寧に聞こえる理由は、上記でも軽く触れましたが、'would'を使う仮定法は、あり得ないことや、あったらびっくりすることについて言う時に使うからだと思います(私が勝手に思っているだけかもしれませんが)。「ありえないことかもしれないけど、もし万が一あなたがそうしてくれるのなら」'That would be great' のように聞こえるので、丁寧に聞こえると考えると納得できるのでは?
次の例を比べてみてください。
Would you open the window (if you didn't mind)?
Will you open the window (if you don't mind)?
1つ目は、まずありえないような事の時に使う形('would')を使っているので、「万が一よろしければ」のように聞こえ、2つ目より丁寧なイメージになります。
'would'も含め、仮定法はややこしいですが、使えると会話力が広がります。この機会にぜひマスターを目指してください。
ちなみに、同僚の方がやってくれると思って、この生徒さんがしなかった事は、しなくても大きな問題になるような事ではなかったそうです。ホッ、よかった!
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