自主隔離中、お気に入りコメディの一つ、The Big Bang Theory(アメリカのSitcom)をNetflixで時々見ていました。
先日、シーズン8,エピソード10「The Champagne Reflection」を見ていると、はじめの方に、Leopard、Raj、Howardの3人が、亡くなった大学の教授Roger Abbot(ロジャー・アボット)さんのオフィスを片付けている場面がありました。
この時、RajがRoger Abbotの名前を口に出した後、Howardが ‘Roger Abbot sounds just like Roger Rabbit(ロジャー・ラビット).」と言って笑い始め、次にRajが‘Roger Abbot, Roger Abbot, Roger Abbot’と言ってみてから、「ホントだ!」というようなセリフが続きます。
ロジャー・ラビットは1980年代後半のアメリカのコメディ映画に出てくるキャラクターの名前です。映画の日本語タイトルが「ロジャー・ラビット」でしたのでご存知の方も多いかと思います。上のビデオはこの映画のTrailerです。
では、どうしてロジャー・アボットが、ロジャー・ラビットに聞こえるのでしょう?ロジャーとアボットをそれぞれ発音記号で書いてみると:
ロジャー Roger /rɒdʒə/ アメリカ英語は/rɒdʒər/
アボット Abbot /æbət/
アメリカ英語ではロジャーの最後は/r/を発音しますが、イギリス英語では次が母音の時のみ発音します。
ロジャーの次がアボットで、母音の/æ/で始まっているので、イギリス英語でも/r/を発音することになり、イギリス英語もアメリカ英語も/r/を発音しリンキングがおこります。
それぞれ発音記号で書くと:
ロジャー・アボット Roger Abbot /rɒdʒəræbət/
ロジャー・ラビット Roger Rabbit /rɒdʒəræbət/ または /rɒdʒəræbɪt/
ラビットの2音節目の母音は/ə/でも/ɪ/でもよく、/ə/で発音した場合、この2つは全く同じ発音になるのです。人の名前などの固有名詞も、もちろんリンキングしますので、このような事が起こります。
また、「/r/で終わって次が母音の場合のリンキングはアメリカ英語でも同じですか?」というご質問をいただく事が今まで何度かありました。The Big Bang Theoryはアメリカ英語ですので、このご質問の答えが「Yes」ということがこの例でもおわかりいただけると思います。
もちろん、/r/だけではなく、First nameが子音で終わりSurnameが母音で始まる名前はリンキングします。
Diane Abbot /daɪænæbət/ ダイアナボットっぽい
Sam Ingram /sæmɪŋgrəm/ サミングラムっぽい
Clint Eastwood /klɪnti:stwʊd/ クリンティースウッドっぽい
John Oliver /dʒɒnɒlɪvə/ ジョノリヴァっぽい
などです。
また、以前書いたブログでも触れましたが、私はThe Fallというバンドのヴォーカリストは、マーキー・スミスだと思い込んでいました。数年前この方が亡くなった時、初めて名前を文字で見て Mark E. Smithだと気づいたのです。
リンキングのために、簡単な単語なのに聞き取れなかったという経験は皆さんあると思います。慣れていない英語の名前や地名などの固有名詞は更にわかりにくくなるのではないでしょうか。普段から固有名詞も意識して音として聞き取り、自分でもリンキングを使って発音することで、少しずつ慣れていくはずです。
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