弱い母音のリスニングと発音
- Shigeri Nishide
- Mar 18
- 5 min read
Updated: Mar 27
弱い母音(主にシュワ/ə/)のリスニングと発音は、会話中、意味を正しく理解し、言いたいことを確実に伝えるためには重要なポイントです。かすかに聞こえる程度の母音が聞き取れなくても、「なんとなく」理解でき、会話が進んでいく場合がほとんどですが、ちょっとした勘違いで、ちんぷんかんぷんな会話になったり、話が大きく変わってしったりする事も多々あります。
弱い母音は、弱いだけではなくとても短いので聞き取りにくいのですが、母音があれば必ず1音節あるため、音節の数が認識できれば、一歩前進。それには、弱い母音がある時とない時の音の違いを意識して発音し、自分が発音した音の違いを聞き取る練習が効果的です。
弱い母音(音節)の練習は、結婚行進曲を参考にしてみてください。結婚行進曲は、「タタタタン」というリズムで始まりますが、このリズムは「There was a man.」と同じなので、「タタタタン」の部分の歌詞が「There was a man」だと思って歌ってみると、「There was a」の部分は弱い音節が3つあり、いかに短いかがわかりやすいと思います。
結婚行進曲の「タタタタン」のように、弱く短い音節(・)は「タ」、ストレスがある音節(◯)は「タン」だと考えてください。
例: Apple ◯・ タンタ
Banana ・◯・ タタンタ
Today ・◯ タタン
Yesterday ◯・・タンタタ
文章やフレーズでも、単語と同じストレス・パターンの場合、単語を発音してから、それと同じリズムでその文章を発音すると、イメージがつかみやすいです。
例: Today ・◯
She’s nice. ・◯
Todayと発音してから、それと同じリズムになるよう、She’s nice.を発音する。
弱い母音は、Weak formsか単語内のストレスがない音節の母音です。以下に弱い母音がある場合とない場合の組み合わせをご紹介しました。発音してみて違いを比べてみてください。
練習
発音記号について(カッコ内にあるのは何か?など)の説明のリストは最後に載せています。
母音あるか無いかの違い
She’s nice. ・◯ /ʃiznaɪs/
She’s nicer. ・◯・ /ʃiznaɪsə/
the old man ・◯◯ /ðiʲəʊl(d)mæn/
the older man ・◯・◯ /ðiʲəʊldəmæn/
for cats ・◯ /fəkæts/
for a cat ・・◯ /fərəkæt/
few ◯ /fjuː/
for you ・◯ /fəjuː/
And があるか無いか
black, white ◯◯ /blækwaɪt/
black and white ◯・◯/blækᵊnwaɪt/
Mark Williams ◯◯・/mɑːkwɪljəmz/
Mark and William ◯・◯・/mɑːkᵊnwɪljəm/
Ann, Andy ◯◯・/ænændi/
Ann and Andy ◯・◯・/ænənændi/ or /ænəndændi/
Or とand
One, seven, tenの最後の音は/n/、fiveの最後の音は/v/で子音ですので、次に母音で始まる単語(or, andなど)を発音する場合、リンキングします。
Andは、次の単語が子音で始まっている場合、/d/は発音せず、冠詞の「an」と同じ発音。
Andの次の単語が母音で始まっている場合は、/d/を発音してもしなくてもいいですが、次の単語とリンキングしますので、注意が必要です。
one, two ◯◯ /wʌntuː/
one or two ◯・◯ /wʌnətuː/
one and two ◯・◯ /wʌnəntuː/
two, three ◯◯ /tuːθriː/
two or three ◯・◯ /tuːʷəθriː/
two and three ◯・◯ /tuːʷənθriː/
three, four ◯◯ /θriːfɔː/
three or four ◯・◯ /θriːʲəfɔː/
three and four ◯・◯ /θriːʲənfɔː/
fourはrで終わっているので、or, andなど母音で始まる単語が次に来るとリンキング。
four, five ◯◯ /fɔːfaɪv/
four or five ◯・◯ /fɔːʳəfaɪv/
four and five ◯・◯ /fɔːʳənfaɪv/
five, six ◯◯ /faɪvsɪks/
five or six ◯・◯ /faɪvəsɪks/
five and six ◯・◯ /faɪvənsɪks/
eightは母音で始まっているので、or, andのようにその前の単語がrや他の子音で終わっている場合、リンキング。
seven, eight ◯・◯ /sevᵊneɪt/
seven or eight ◯・・◯ /sevᵊnəʳeɪt/
seven and eight ◯・・◯ /sevᵊnəneɪt/ or /sevᵊnəndeɪt/
tenは子音で終わり、elevenは母音で始まっているので、or, andがある場合、2か所でリンキング。
ten, eleven ◯・◯・ /tenɪlevᵊn/
ten or eleven ◯・・◯・ /tenəʳɪlevᵊn/
ten and eleven ◯・・◯・ /tenənɪlevᵊn/ or /tenəndɪlevᵊn/
Be動詞、助動詞
They’re gone. ・◯ /ðəgɒn/ or /ðeəgɒn/
They’ve gone. ・◯ /ðəvgɒn/ or /ðeɪvgɒn/
They’d gone. ・◯ /ðəʔgɒn/ or /ðeɪʔgɒn/
They’d have gone. ・・◯ /ðədəvgɒn/ or /ðeɪdəvgɒn/
theyは/ðeɪ/と発音される場合もありますが、スピードが早い日常会話では、とても弱い/ðe/か/ðə/に近い発音になる場合が多いので、自分で発音する時は/ðeɪ/でも全く問題ありませんが、リスニング時にははっきり/ðeɪ/とは聞こえない場合が多い。
There’s a person. ・・◯・ /ðəzəpɜːsᵊn/
There was a person. ・・・◯・ /ðəwᵊzəpɜːsᵊn/
wasには短縮形はありません。
It rained. ・◯ /ɪʔraind/ or /ɪtraɪnd/
It’s rained. ・◯ /ɪtsraind/
It’d rained. ・・◯ /ɪtədraind/ or /ɪtəʔraind/
You come. ・◯ /jəkʌm/
You’ve come. ・◯ /jəvkʌm/
You’d come. ・◯ /jəʔkʌm/
You’d have come. ・・◯ /jədəvkʌm/
I do that. ・◯◯ /aɪduːðæt/
I’ll do that. ・◯◯ /aɪlduːðæt/
I’d do that. ・◯◯ /aɪʔduːðæt/
I could do that. ・・◯◯ /aɪkəʔduːðæt/
I can do that. ・・◯◯ /aɪkənduːðæt/
I’ve done that. ・◯◯ /aɪvdʌnðæt/
I’d done that. ・◯◯ /aɪʔdʌnðæt/
I’ll have done that. ・・◯◯ /aɪləvdʌnðæt/
最初にくるbut
It’s good. ・◯ /ɪtsgʊd/
But it’s good. ・・◯ /bədɪtsgʊd/ or /bətɪtsgʊd/
It was good. ・・◯ /ɪʔwəzgʊd/ or /ɪtwəzgʊd/
But it was good. ・・・◯ /bədɪʔwəzgʊd/ or /bətɪtwəzgʊd/
Butの次の単語が弱い母音で始まっていると、/t/も弱めに発音されるので、/d/で発音される場合が多々あります。
発音記号について
上記の発音記号は以下を参考にしてください:
( )内のt, dは、前後の音が子音のため、発音されない場合が多い
rは、イギリス英語では次に母音がある時だけ発音されるので、母音で始まっている単語の前にrがある時はリンキングする(例:for aは/fərə/)
/ʷ, ʲ, ʳ/ のように、小さく上にあるものはConnected speechにより起こり、普通より弱め
/ᵊ/は、発音してもしなくてもいいシュワ
/ʔ/は、グッバイの「ッ」の部分のように、音はなく、飛んだ(つまった)感じに聞こえる
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