音読で気をつけること
ここでは、音読をする時に気をつけていただきたい以下の2つをご紹介します:
1. 目的をはっきり持つ
2. 何を読むか
目的をはっきり持つ
音読に限らず、練習や勉強をする時には「何のためにそれをするのか?」という目的をはっきりさせることが大切です。この目的は、毎回違うものでもかまいませんし、今これをマスターしたいという事を毎回、短・中・長期の目的にしてもいいと思います。
また、音読中に気になること(知らない単語など)があって調べたい場合、まずはメモをして後で調べるなどで対応し、目的から脱線する時間をできるだけ少なくして、音読をつづけるようにしてください。
音読の目的、すなわち音読で得られる事は沢山ありますが、ここではその中の7つについてお話します:
1. 英語のパターンを身につける
日本語にも、こういう場面ではこう言うという決り文句的パターンや、「いっぽん、にほん、さんぼん・・・」のように、理由はわからないけどそういうものという決まったパターンがあるように、英語にも英語独特のパターンがあります。
このパターンが身につけることで、理解力や会話力が伸びやすくなります。英語のパターンを身につける事は非常に重要ですので、別に「英語のパターンを身につける」というページを作りました。是非ご覧ください。
2. 自分が言えること、言えないことを確認する
音読していると、読んだ内容の意味がわかればOKと思いがちなのですが、そこで「今と同じ内容のことを自分で言えるかな?」と考えて見てください。
例えば、以下はこのウェブサイトに載せいている、Wの発音練習のために書いたの音読用の文章の2つ目のパラグラフですが、これを音読してから、文章を見ないで同じ内容のことが言えるかやってみます。全く同じ文章ではなくても、同じ意味であればOKです。
I kept walking towards the Palace, eating my waffle. Then the weather suddenly changed. It started pouring and I got soaking wet. Luckily, my bag was waterproofed but my waffle was totally ruined. I really wished I had taken an umbrella with me.
聞いたことがあるけれど、自分は使っていないし、別の言い方でも言えないという表現があれば、覚えて自分で使えるようにします。表現だけではなく、時制もきちんと確認することで、自分が言えることと言えないことを確認し、正しく言えることを増やしていきます。
3. 口慣し
音読をして英語での口慣しをすることで、口を動かす筋肉が英語に慣れていきますので、 よく出てくるフレーズや単語などがさらっと言えるようになっていき、よく出てくるフレーズなどは、会話でも無意識に使えるようになっていきます。
そして、日本語の早口言葉もそうですが、初めは上手く言えなくても、練習すれば楽に言えるようになります。音読中、これはいつも言いにくいから言うのを避けていたというような単語や表現が出てきたら、いい機会だと思って、子供の頃、早口言葉を練習した時のように、言えるようになるまで何度も練習してみてはいかがでしょう?
4. 発音の練習
音読は発音の練習には欠かせません。ただ、一口に発音と言っても一つ一つの音の発音や、リンキング、イントネーションなど、気をつけることは沢山あり、かなり慣れないと、全てを意識するのは大変です。
このため、「今日は/f/ と/v/の発音の練習をするために音読する」、「今日はWeak formだけ意識して読む」など、ターゲットを絞って音読することをお勧めします。
また、Weak formも沢山ありますので 「今日はtoだけ意識する」など、確実に意識できるところまでターゲットを絞って練習してみてください。
5. 前から意味を理解する
この練習は、リスニング力にも会話力にもつながります。私自身も、この方法で読解力がかなり伸びた経験があります。
ここで、前から意味を理解するための音読方法をご説明するとかなり長くなりますので、別にページを作る予定です。完成次第、ここにリンクを載せ、Newsletterでもご紹介します。しばらくお待ち下さい。
6. 文法の確認
日本語にはない時制や、完了形、仮定法など、なんとなく知っている文法や、頭の中ではわかっていても実際なかなか使えない文法などは、実際にどういう場面で使われているかを意識することで、少しずつ身についていきます。
例えば音読中、’They had an article on everything she’d been doing.’という文章が出てきたら、どうして’she’d been doing’という言い方なのか考えてみたり、自分で同じことを言いたい場合はどう言うか?時制は正しく言えるか?などを確認します。
初めは意味や使い方がしっくり来ないことでも、同じ文法がいろいろな状況で使われている事に気づき、どんな状況でその文法が使われているかを毎回考えていくうちに、少しずつ分かるようになるはずです。
7. 楽しむ
英語上達のためもいいですが、楽しむためにも音読してみてください。音読を続けることで、ストーリーが理解できるようになって、英語の本を楽しめるようになったという生徒さんもいます。楽しめる=意味がわかっているということですので、成果も見えてモチベーションにもつながるのではないでしょうか?
何を読むか
このウェブサイトにも音読に使えるものをご用意していますので、是非ご利用いただければと思いますが、自分で読むものを決める場合、本、雑誌、英語のウェブサイト、新聞、YouTubeやツイッターなどのソーシャルメディアのコメント、Eメールなど、何でもOKです。
ただ、内容に関しては、会話上達のための音読材料を選ぶ時のポイントがいくつかあります。もちろん、楽しむために読む場合は、以下のポイントは無視して、好きなものを何でも読んでください。
1. 現代の英語で書かれているもの
日本語でいうと、時代劇のような本を「せっしゃは、・・・でござる」などと音読しても、日常的にはあまり役に立ちません。「高慢と偏見」など、有名で素晴らしい本は、200年以上前に書かれた本などは、現代の会話上達にはつながりにくいので、趣味で楽しむためを目的に読むことをおすすめします。
2. 現実的なもの(日常的に使う表現が多いもの)
ハリー・ポッターは人気がありますし、悪くないのですが、魔法に関する単語がたくさん出てきたり、現実的ではないことがたくさん起こるので、効率的ではないかもしれません。
逆に、 パディントンのように、クマがしゃべるのは現実的ではありませんが、喋っている内容が日常的なセリフなのであれば、使える表現も多いと思います。
3. 興味があるもの・仕事などに関係があるもの
日本語でも読まないもの(興味がないもの)は英語では読めない(読みたくない)と思います。自分が面白いと思えるもの、興味があるものを選んでください。
また、仕事でネイティヴから届いたEメールなどを音読すると、英語でEメールを書く時に役立つだけではなく、仕事で使う単語や言い回しの口馴しにもなります。
4. 短めのものからやってみる
あまり興味がなくても、短ければなんとか読めます。そして、いくら面白そうでも、小説を一冊読むのは、あまりにも果てしない気分になるようなら、まずは短いものから始めて下さい。
また、このウェブサイトに載せている音読用のマテリアルは、短く、会話文もあり、発音や文法などターゲットを絞ったものもありますので、是非使ってみて下さい。
5. 日本語の本を英語で読むという手も・・・
これは、選ぶポイントと言うよりアイデアの一つなのですが、日本語の本を英語で読むというのも面白いと思います。
どの本が英語になっているかわからない場合、Google やAmazon.co.ukで「Japanese novels in English」などと検索してみてください。
6. 英語圏の中・高校生の教科書に出てくるもの、または超有名小説
これは、プライオリティではありませんが、英語圏の文化を知って、ネイティヴ同士の会話に入った時についていくのに役立つ可能性があります。
教科書に出てくるような小説、子供の頃に誰でも読むような本や、昔話、定番・長寿マンガなどほとんどの人が知っているもの。また、読んだことはなくてもタイトルを聞いたことがない人はいないのでは?という有名な本などです。
私自身、数年前にジョージ・オーウェルの「1984」を読んだ後、テレビ番組のタイトルにこの本に出てくるコンセプトが使われていることに気づいたという経験もあります。
これも、「classic novels」などで検索すると、書店、出版会社、新聞社などが作った「best novels of all time」や「100 must-read classic books」などのウェブページがリストで出てきます。